バイマンスリーワーズ
Bimonthly Words
未来企業はサッカーチーム型
ピーター.F.ドラッカー氏が著した
“Managing for the Future”(『未来企業-生き残る組織の条件』)
が、発売された3月から全米で注目されています。
(日本では5月にダイヤモンド社より刊行の予定)
この著書はドラッカー理論の集大成ともいわれ、
経済、人、マネジメント、組織など多岐にわたるテーマについて将来はどうなるのか、
どのような行動をとればいいのかなど数々の指針が織り込まれており、
ビジネスマンにとって必読の書となるでしょう。
ドラッカーはその一部で未来企業の運営は、
旧来の「野球チーム型」から「サッカーチーム型」
に移行すべきだと述べています。
野球チーム型とは、
一人の選手に一定のポジションと打順が与えられ、それに則ってプレーする。
それぞれの守備範囲は大体決まっていて他の場所まで大幅に侵入することはありません。
ボールはいわば上司からの命令のようなもので、それによって選手が動く。
ほとんどの企業はこの型をとっています。
責任はみんなにありますが、ひとりひとりの打率や守備が結果に大きく反映される、
でもチャンスだからといって打順を代えることができず融通性に欠けるのです。
そこで次にくるのが「サッカーチーム型」。
それぞれの選手に一定のポジションが与えられますが、
守備範囲はグランド全体になります。
違うのはひとりひとりの役割です。
ボールのパスのされ方によって、その役割は臨機応変に変わってきます。
監督の指示よりも、プレーヤーのその場その場の意思決定が重要な鍵となるのです。
そして、この時の成績はみんなが一丸となって動きゴールを狙うという一体感があります。
ドラッカーはサッカーチーム型運営を病院に例えて述べています。
ある病院に拍動停止で担ぎ込まれた患者がいるとします。
心臓外科医、看護婦、呼吸器担当、レントゲン技師等々、全員が駆けつけます。
呼吸器担当が外科医の仕事をすることはありませんが、
指示されずとも自分の仕事がどこからどこまでで、
いつ手を出していいかわかっています。
それぞれが自発的に仕事をする。
このような病院スタッフのあり方がサッカーチーム型であるというのです。
ソニーはこの方式をビデオの開発部門にいち早く導入し、
研究開発の初めから、設計者、製造者、販売担当者を関わらせ成功しています。
サッカーは時間内で行うスポーツである
ドラッカーの組織運営に対する提言を私たちはどのような観点でとらえればいいのでしょう。
それは、サッカーというスポーツの野球との決定的な違いである、
時間が限られている中でプレーする点にあると私は思います。
野球は基本的に、勝負がつくまで時間に限りなく、くたくたになってもプレーをします。
一方、サッカーは限られた時間内で得点を競うのです。
このことは、私たちをとり巻く経営環境が、
野球型環境からサッカー型環境に変わってきていることを示唆しています。
公務員の完全週休2日制実施、
一般企業においても年間 1,800時間就労に向けて体制整備に突入しています。
中小企業においてもこの環境変化による要請は無視できません。
否、限られた時間の中でどのようにすれば企業間競争に勝ち残れるか、
そして時短政策を成功させるかというテーマこそが、
中小企業経営者の抱える最重要の課題であるといえるでしょう。
時短政策とは単に労働時間を短くすることではありません。
一人当りの効率を飛躍的に高める手法を導入するのが時短政策です。
ゆとりが叫ばれ、年間 1,800時間就労に向けて大手企業が体制整備を進める一方、
中小企業では慢性的な人手不足が続いています。
つまり、企業間競争に勝つために人は増やせない、
時短の必要性はわかるが現実には難しい、
手も足も出ないというのが中小企業の実態でしょう。
「形から入る」という意味で完全週休2日制を断行したけれど、
現実は残業が増え、土曜日も出勤している企業が続出しています。
形から入ることは悪くないのですが、問題はその後に打つ手がないことにあります。
つまり企業がタイムマネジメントの手法を身につけていないところに、
最大の問題が潜んでいるのです。
ドラッカーは『未来企業』の中で、
知的労働者、サービス労働者が中心となる今後の社会において、
彼らに対する生産性の革新(飛躍的な効率の向上)が、
企業運営の中で最も重要な課題であるとしています。
そして、そのための具体的なタイムマネジメントの手法をも提示しています。
弊社でも、時同じくしてこのテーマに取り組み、日本の企業に受けいれ易いノウハウである、
DIPS( Increasing Productivity of Interectual People System
= IP,IP System = Double IP System)
を導入し、全社挙げてDIPS運動を展開しております。
現在のところコンサルタントや管理スタッフの残業が大幅に減る一方で、
レポートの提出件数やお客様への訪問回数は徐々に増えてきております。
私はこれまで完全な野球型人間でした。
観るのもやるのも野球が一番いいと思っていました。
しかし、時代要請の中でサッカーというスポーツの良さを受け容れ、
経営に活かす必要性を痛切に感じるようになりました。
そのポイントはタイムマネジメントにありました。
限られた時間の中で限られた人材に能力をフルに発揮してもらう。
そのための新しい手法はどんどん取り入れていく革新を続ける。
時短を緊急にお考えの方、時短政策がうまくはかどらない方は、
是非ともこのテーマに取り組んでいただきたいと思います。